
最終確認日:2026年9月21日
「日本に長く住んできたので、そろそろ永住を申請できるのではないか」と考える外国人の方は多いでしょう。一般に「永住ビザ」「永住権」と呼ばれますが、正式な在留資格は「永住者」です。
永住許可は、現在の在留資格から「永住者」への変更を希望する方などに対し、法務大臣が与える許可です。通常の在留資格変更より慎重に審査されるため、在留年数だけで判断することはできません。
この記事では、2016年に公開した旧記事の内容をもとに、出入国在留管理庁が2026年2月24日に改訂した「永住許可に関するガイドライン」など、現在の公的資料に照らして要点を整理します。
永住者になる主なメリット
- 在留期間の制限がなくなり、在留期間更新許可申請が不要になります。
- 在留活動の制限がなくなり、職種を問わず働くことができます。
- 離婚や配偶者との死別、転職などがあっても、それだけを理由に在留資格を変更する必要はありません。
- 日本国籍へ変更する帰化とは異なり、原則として現在の国籍を維持します。
- 住宅ローンなどの審査で、長期的な生活基盤の一要素として評価される場合があります。ただし、融資が必ず受けられるわけではありません。
永住許可を受けても外国籍であることに変わりはなく、在留カードの更新や再入国に関する手続などは引き続き必要です。
申請から結果までの期間
出入国在留管理庁が公表する標準処理期間は4か月から6か月です。ただし、これは結果が必ずその期間内に出るという保証ではありません。申請の集中状況、個別事情、追加資料の提出などにより、さらに時間がかかる場合があります。
永住許可を申請しても、現在の在留期間は自動的に延長されません。審査中に現在の在留期限が来る場合は、期限までに別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。
永住許可の基本的な審査要件
現在のガイドラインでは、主に次の3点が示されています。
1.素行が善良であること
法律を守り、日常生活において社会的に非難されることのない生活を営んでいることが求められます。
2.独立して生計を営める資産または技能があること
公共の負担にならず、資産、収入、職業などから将来にわたり安定した生活が見込まれることが必要です。申請人一人だけでなく、世帯全体の状況を踏まえて判断される場合があります。
3.永住が日本の利益に合すると認められること
在留年数、罰金刑や拘禁刑などの有無、公的義務の履行、現在の在留期間などが確認されます。
特に、税金、公的年金、公的医療保険の保険料、入管法上の届出などの公的義務を適正に履行していることが重要です。申請時に納付済みであっても、もともとの納付期限を過ぎて支払った場合は、原則として消極的に評価されます。「未納がなければよい」というだけではありません。
原則は10年以上の継続在留
原則として、引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格(「技能実習」と「特定技能1号」を除く)または居住資格で、引き続き5年以上在留していることが求められます。
長期の出国、在留資格や活動内容の変化などがある場合は、「引き続き」の要件を満たすかを個別に確認する必要があります。
10年の在留を待たずに申請できる主な特例
次のような方には、原則10年在留の特例があります。
- 日本人・永住者・特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、かつ日本に引き続き1年以上在留している場合
- 日本人・永住者・特別永住者の実子等:日本に引き続き1年以上在留している場合
- 定住者:「定住者」の在留資格で5年以上継続して在留している場合
- 難民または補完的保護対象者:認定後5年以上継続して在留している場合
- 日本への貢献が認められる方:外交、社会、経済、文化などの分野で貢献が認められ、5年以上在留している場合
- 高度外国人材:ポイント計算で70点以上の場合は3年、80点以上の場合は1年に短縮される場合
- 特別高度人材:所定の基準を満たし、1年以上継続して在留している場合など
特例に当てはまるように見えても、それだけで許可されるわけではありません。現在の在留状況、公的義務の履行、家族関係、収入などを総合的に確認します。
現在の在留期間にも注意が必要です
ガイドラインでは、現在の在留資格について「最長の在留期間」をもって在留していることが要件とされています。
2027年3月31日までは、在留期間「3年」も「最長の在留期間」として扱われる経過的な運用があります。しかし、出入国在留管理庁は、2027年4月1日から原則として各在留資格の最長の在留期間を求める取扱いに変更すると公表しています。2027年3月31日時点で「3年」を有する方には、一定の経過措置があります。
申請時期によって取扱いが変わるため、在留カードの期間を確認したうえで準備してください。
必要書類は在留資格や家族状況によって異なります
永住許可申請書、写真、理由書、住民票、職業・収入・納税・年金・医療保険を証明する資料、身元保証書などが基本になります。ただし、「日本人の配偶者等」「定住者」「就労資格」「高度人材」など、現在の在留資格や家族構成によって提出書類は異なります。
出入国在留管理庁の一覧は必要書類の基準です。個別事情を説明するため、追加資料を準備したほうがよい場合もあります。また、2021年10月からは、永住許可申請に「了解書」の提出が必要とされています。
申請前に確認しておきたいこと
- これまでの在留歴と長期出国の有無
- 現在の在留資格と在留期間
- 仕事内容、雇用状況、収入の安定性
- 住民税、国税、年金、健康保険料を期限内に納付しているか
- 転職、離婚、引越しなどの届出を適切に行っているか
- 交通違反を含む法令違反の有無
- 身元保証人を依頼できるか
永住許可は、一つの条件だけで結論が決まるものではありません。ご自身では問題ないと思っていた点が審査上の注意点になることもあります。反対に、原則10年に達していなくても特例を検討できる場合があります。
小岩行政書士・入管取次事務所から
当事務所では、申請できるかどうかだけでなく、現在の在留状況、仕事、家族、納税・年金・医療保険などを確認し、できることと難しいことを正直にお伝えします。許可を安易に断言することはありません。
初回相談は1時間無料です。パスポートと在留カードをお持ちください。永住許可を考えている方は、申請時期を決める前に一度ご相談ください。
本記事は一般的な情報を提供するものであり、個別案件の許可を保証するものではありません。制度や運用は変更されることがありますので、申請時には最新の公的情報をご確認ください。